系統図鑑
伝統こけし 系統図鑑
東北各地で受け継がれてきた系譜。一つひとつの歴史とデザインを辿ります。
- 鳴
鳴子系
宮城県大崎市 鳴子温泉
頭は胴に差し込む「はめ込み式」で、首を回すと「キュッ、キュッ」と鳴るのが構造上の最大の特徴。大きめの頭を、肩が張り中ほどがやや細く下方で安定する胴が受け止める。描彩は重ね菊・撫子・楓を中心に、頭頂の放射状の手柄(水引手)、前髪と鬢、黄色の効かせ方に特徴がある。
- 遠
遠刈田系
宮城県蔵王町遠刈田温泉
頭は大きく、頭頂に赤い放射状の「手絡(てがら)」を描く。胴は細身で直胴に近く、肩の段差は控えめ。前髪と鬢、切れ長の眼が端正な顔立ちを生む。
- 弥
弥治郎系
宮城県白石市弥治郎
ベレー帽状の蛇の目模様を頭頂に置き、頭は丸く大きい。胴は太めで、多色の鮮やかなロクロ縞が肩・中央・裾を彩るのが最大の特徴。
- 土
土湯系
福島県福島市土湯温泉
頭頂の蛇の目模様、前髪と髪の間の赤いカセ(髪飾り)、クジラのような目・垂れ鼻・おちょぼ口、ロクロ線中心の簡素な胴模様、頭が小さめで胴が細い女性的な姿。頭を胴にはめ込む「はめ込み式」で、首を回すと木と木が擦れて「キィキィ」鳴る。
- 作
作並系
宮城県仙台市青葉区作並温泉
非常に細い棒状の胴と小さな頭。子どもが握りやすい玩具性を強く残し、装飾はおおむね簡素。
- 蔵
蔵王高湯系
山形県山形市蔵王温泉
大きな頭と力強い太短の胴。頭頂に赤い放射状手柄を描き、遠刈田系の影響を残しつつ独自の量感を持つ。
- 肘
肘折系
山形県大蔵村肘折温泉
太めの胴に、鳴子系の重ね菊と遠刈田系の手絡を併せ持つ折衷的造形。地は黄色を基調とすることが多い。
- 南
南部系
岩手県花巻市・盛岡
木地色を活かした無彩仕上げと、胴に対して頭が遊離する「キナキナ型」が原型。描彩型では細身で柔らかな顔立ち。
- 木
木地山系
秋田県湯沢市木地山・川連
頭と胴が一木の「作りつけ」構造で、太く安定した胴を持つ。頭はおかっぱ前髪、「らっきょう頭」と呼ばれる丸い造形。
- 山
山形系
山形県山形市旅籠町
細い棒状の胴と小さな頭。作並系との連続性を残しつつ、より洗練された造形を持つ。
- 津
津軽系
青森県黒石市温湯温泉・大鰐・弘前・十和田
達磨型のずんぐりした体型、おかっぱ頭、裾の広がりが特徴。彩色は大胆で幾何学的・ねぶた風の意匠を含む。
- 中
中ノ沢系
福島県耶麻郡猪苗代町中ノ沢温泉
頭は大きく、目を強調する独特な描法を持つ。胴は太めで安定感があり、遠刈田系・土湯系の影響を受けつつも独自性が強い。